顎に対して歯並びが悪い場合:術前歯科矯正治療と組み合わせて治療を行います。
まず、中学生たちがよく受けているブラケットという矯正装置を歯に付けて顎に対して正常な位置・向きになるように治療を行います。術前矯正の期間は歯並びの悪さによって決まりますが、おおよそ1〜2年です。歯並びが上下同じ形・大きさのU字型になれば、手術を計画していきます。
現在ではCTとデジカメで撮影した顔写真、それに歯形の石膏模型をPC上で組み合わせ、ヴァーチャル手術を行って最適の噛み合わせで理想的な顔貌になるように準備ができるようになりました。
顎変形症に対する手術には大きく分けて二つあります。上顎骨、下顎骨といった骨全体を手術で前後、上下、左右に移動したり(骨切り術と呼びます)、歯を含む骨の一部だけを切って動かし、噛み合わせと容貌を正しく整えるやりかたです。
手術は全身麻酔下で行い、移動させた骨はからだに為害作用のない材料でできたネジやプレートで固定します。アゴの安静が図られるよう、顎間固定といって上下のかみ合わせを固定した状態で手術は終了しますが、これも1週間ほどの辛抱です(ただし、手術方法によっては3週間固定する場合もあります)。基本的にはすべての操作を口腔内で行いますから、顔の外にずっとあとまで残る手術瘢を作ることはありません。
あっちの骨をこっちへやったり削ったりと、まるで積み木遊びか木工細工のようですが、実はそれほど単純ではなくて少々問題があります。ご存じのように顔にはいろんな感覚器官が集中していて血液の流れが豊富です。骨の中にも太い血管や神経が通っていますから、切る位置や方向、量には様々な制約や限界があります。したがって、だれもが望みどおりに顎の形を自由に変えられるというわけではありません。
顎矯正手術の計画にあたって一番大切なのは、患者さんにあった適切な方法(矯正治療と手術との組み合わせなど)を探すことです。決して見かけだけの改善に終わることなく、顎顔面の持つ重要な機能の調和を目指して、患者さんとともに治療法を模索し、最良の結果が得られるよう努力しています。
術後は骨が完全にくっつくのに3か月程度かかりますが、その間術後歯科矯正治療を行い、通常6か月程度で矯正装置を外して治療終了となります。